それでも君が
「何回言っても靴下裏返しで洗濯機に入れるところが嫌い。
お酒飲むとそのままお風呂入らないところが嫌い。
食べ終えた食器に鼻かんだティッシュ捨てるの止めてくれないところとか本当嫌い。
でもね、これは我慢できた。愛情があるから」


何度も言われた覚えのある彼女の小言。
なんだかんだ言って、いつも聞き流していたっけ。
自分のダメなところを改めて指摘され、途端に自分のダメっぷりに恥ずかしくなる。


「でもね、大事な事を面倒くさがって適当に逃げようとするところ、我慢できない大っ嫌い。
この先色んな分岐点があると思うよ。
ねえ、全部逃げるつもり?私に丸投げするつもり?強制されないと選べない?」


返事も出来ない俺を見て、泣き笑いのような複雑な表情をした彼女は、はっと小さく息を吐いた。
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