課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜
「おっとっ」

 手を滑らせて、スマホを湯に落としかける。

 危ない危ない。

 一度、番号消えてしまったら、二度と教えてくれなさそうだからな、あの人。

 もう職場外で連絡取る必要もないわけだし。

 あ、いや。
 杯返してくれるんだったか。

 そういえば、釣りに付き合わせたお詫びに、奢ってくれるようなこと言ってたけど。

 どっちかって言うと、私が奢らなきゃだよな。

 タクシー代も出してもらってるし、宿の払いも待ってもらってるし。

 じゃあ、利子代わりに、今度奢るかな〜と思いながら、スマホをタオルで綺麗に拭い、脱衣場の棚の上に戻した。




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