課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜
考えてみれば、指輪も結局、課長が選んだけど、センス良かったしな。
自分がうだうだ言うより、課長に任せて正解だったか、と思う。
式場は、最近結婚式用にできたばかりの、海のチャペルだった。
実はまだオープンしていないらしく、それで急なことだったのに、式が挙げられることになったのだ。
雅喜の大学時代の友人が設計した総ガラス張りの美しいチャベルだ。
客の椅子もお洒落な白い椅子で、外装に合わせた長いガラスの花瓶に入った白い花がバージンロード沿いに整然と並んでいる。
オープン前に使わせる代わりに、写真を何枚か撮らせてくれ、という条件が出されていたので、撮影の人たちも来ていたが、そもそも、結婚式ということで、元より緊張しているので、特に問題はなかった。
おまけに、メイクもヘアもすべて撮影用のプロがやってくれたので、誰っ!? というくらい綺麗にしてもらった。
友人どころか、親兄弟までも、口に出して、
「誰っ!?」
と言ったくらいだ。
だが、雅喜だけは、
「違いがよくわからん……」
と言って、せっかく一流のメイクアップアーティストを手配してくれた設計士の友人に、
「……おい」
と言われていたが。
違いがわからない。
それはいいことなのか、悪いことなのか。
そんなことを考えている間に、式は進行していく。