恋を紡ぐ
平坂くんは怠そうにあくびをしながら教室に入ってきた。


午前中はいなかった。つまり遅刻。


「おー、健(けん)、今登校かよ」

「起きたら11時だった」

「夜遅くまで何やってたんだよー」

「いつもと同じ時間に寝ただけだよ」


男子の集団に捕まった平坂くんは時折笑いながら話している。


平坂くんはクラスの誰かと特別仲がいいわけではないけど浮いているわけでもない。サボリ魔だし、飄々としているけど特別異質なわけでもない。


遠目から見たら一匹狼、なのかもしれない。


そんな彼はよく男子と喧嘩をする。顔に怪我をして教室に入ってくることも珍しくないけどかなり強いらしく、平坂くん一人対複数でも余裕で勝てるくらいには実力があってこの学校では名を馳せている。


顔は整っているし遠くから見てもイケメンとわかるけど、素行の悪さから近寄る女子はほとんどいない。そりゃそうだ。彼に巻き込まれて自分まで怪我をしたくない。



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表紙・目次

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