恋するサクラ
 頭に鳴り響く鐘の音。

 心配そうにのぞき込む、花をしょったイケメンさん。

 何このベッタベタなラブコメ展開。

 あたしゃ、少女マンガの主人公か!

 なんて自分につっこみを入れながら、一瞬遅刻のこと忘れてたけど、大事な会議!遅刻している場合じゃなかった!

 イケメンさんは名残惜しいけど、とにかく今は会社いかなくちゃ!

 次のバス停に何とか間に合い、バスに乗り込んで一息ついたとき、イケメンさんにぶつかったことを謝ってもいなければ、手を貸してくれたことのお礼も言ってなかったことに気が付いた。

 しかも、くわえていたパン、落として来た……。

 最悪……。
 
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