恋するサクラ
出会い
そして、今世紀最大の少女マンガ王道、これぞ出会い!の日。
休日、買い物をして帰る途中、なな、なんと、坂道でオレンジが転がってきた。
もう驚かない。
このベタな展開。
オレンジを3つ拾って、坂を上ると……いたよほら、あのイケメンさん。
ナゼにオレンジを転がすかな。
一生懸命拾っている姿が、チョーカワイイ。
私はここぞとばかりの最大な笑顔で、オレンジをさし出した。
「どうぞ」
「あ、すいません」
見つめあう二人。
オレンジを受け取ろうと手が触れあってしまって、パッと手を離すと、また転がるオレンジ。
ああもう、これが運命じゃなくて何なのだろう。
頭に鳴り響く鐘の音。
「転がしちゃったもので悪いですが、お礼です」
そう言ってにっこり笑ってオレンジを一つ、私の手の中に置いてくれた。