好きって伝えさせて
…はずだった。
ガラッ
「失礼しま…わぁ、きれい。」
きらきらの目をした小柄な女の子が僕の方を見て、そう呟く。
「えっ…」
「あ、…すみません!」
びっくりした…
そっか、きれいって、桜のことだよね。
うん、当たり前。
「あ、いいよいいよ、どうしたの?」
僕はささっとスマートフォンを隠しながら話しかけた。
「あ、の、私、小学校から吹奏楽部に所属してるので、高校も入りたいと思ってて…
音楽室の様子を覗こうかなって…
すみませんでした!!!」
女の子は頭がとれそうな勢いで頭を下げた。
「勝手にはいっちゃだめですよね。すみません!」
「いや、僕も勝手に入ってるから…
ないしょね?」
「はい!」
ふわりと微笑んだ彼女は
桜に負けず劣らず輝いて…
きれいだった。