【短】嫌いは好きの裏返し
「…………なに?」
できる限りの冷たい目線で振り返ると、
「先に行くなよ、さみしーじゃん」
少々息を乱した、白いパーカーを羽織った男が目に入った。
「…………一緒に帰るなんて、約束してないし。
そもそも一緒に帰りたくない」
吐き捨てるようにそう言い捨てて、あたしは再び歩きだす。
「なんだよ、今日はいつもに増して機嫌わるいな」
「別に。てか、他の女子と帰ったら?」
「なんでだよ、お前ん家と同じ方向だろ?」