俺様富豪と甘く危険な恋 ハネムーン編
蓮はビールを飲みながら栞南の方を見ているが、サングラスをしているから表情はわからない。もしかしたら眠っているかもしれない。

蓮の飛び込みや泳ぎのフォームはみとれるほど美しい。競泳用のプールじゃないから泳ぐには物足りないのかもしれない。


「レン!」


平泳ぎで蓮に一番近いところまで行くと、ヘリに両腕を置いて蓮を呼ぶ。


「レン、泳がないの?」


蓮は泳ぐ格好をしていないのだがもう一度誘ってみる。


「お前が疲れるのを待っているんだ。いい加減にしないとふやけるぞ」


(なに言ってるんだか……)


「……一緒に泳ごうよ。それに疲れたら勝手に寝ちゃうからね」

「それでもかまわないぞ。寝ても好きなようにやらせてもらう」

「もうっ! それだけはやめてっ!」


栞南は頬を膨らませて蓮をにらむと、近くの階段からプールサイドに上がった。

髪から滴る水を手で絞っていると、ふんわりしたタオルが放られた。


「ありがと」


髪を拭き、身体の水滴をざっと取ると、タオル地のローブを羽織り、まだ横になっている蓮のビーチベッドの端に腰を下ろす。
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