俺様富豪と甘く危険な恋 ハネムーン編
ダンサーの盛り上がった上腕二頭筋をペタペタと触るジェシカ。ソフィアはやれやれといった風で、イスに戻ってくる。


「ジェシカさん、明るくて場を盛り上げるのが上手ですね」


ソフィアは栞南の隣に座り、飲みかけのモヒートをゴクゴク飲み干す勢いだ。ジェシカが男性と踊り始めたのでおもしろくはないのだろう。


「天真爛漫な子よね。そこが気に入っているんだけどね」


ソフィアはダンサーたちと踊っているジェシカに視線を向けたまま答えた。


「あの女のどこがいいんだ?」

「レンっ!」


栞南はなんてことを言うの?と、驚いて心臓が跳ねた。

蓮の軽蔑した言葉は幸い、ソフィアに届かなかったようで栞南はホッとする。

だが、栞南もジェシカの行動にいささか不信感を覚えてしまう。


(ソフィアさんを好きってことは、女性を……なのに、男性にしなだれかかるような態度って……)


つい考えてしまうと、蓮が何かを言ったのを聞き逃してしまう。


「え? ごめんなさい。なあに?」


蓮ににっこり笑うって聞くと、彼の端正な顔に笑みを浮かんだ。
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