俺様富豪と甘く危険な恋 ハネムーン編
「改装中ならホテルへ行けよ」

「あら、ホテルなんて嫌よ。今はどこも混んでるし。それにどこでもベタベタできないじゃない」


蓮と発言が似ており、栞南はくすっと笑う。笑った栞南に蓮が切れ長の目で睨む。


「作業員を返して泊まればいいだろ」

「それはだめよ。初めての旅行に改装中のブルーシートがかけられた別荘だなんて、嫌われちゃうわ。レンだってわかるでしょう? ホテルじゃ部屋の中はともかく、ゆっくり恋人同士の時間なんて作れないわ」


蓮の隣で栞南も困惑しているが、気の毒にもなる。


知らない人と数日生活するのは不便もあるかもしれない。しかし、この家は広いし、なんとかなるかなと、栞南は蓮に懇願しているソフィアに口添えしようと口を開いた。


「レン、ここは広そうだからベッドルームはあるんでしょう? 泊まってもらえば――」

「おーカンナ! さすがだわ! 優しいんだからっ!」


ソフィアは再び立ち上がって栞南に抱きつこうとしたが、蓮に割って入られてとどまる。


「ここでイチャイチャするなよ」

「いやよ。レンだってカンナとイチャイチャするでしょう?」

「この別荘の主は俺だ。俺が何しようと勝手だろ。言うことが聞けないのならホテルへ行けよ」

「はいはい。極力気をつけるわ」


結局、蓮はソフィアが泊まることに妥協したようだ。

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