俺様富豪と甘く危険な恋 ハネムーン編
そこへダニエルとトニーが買い物袋を抱えて現れた。ニコニコしているソフィアを見て、ふたりとも絶句している。


「もしかして今日はバーベキューかしら? ダニエル、たっぷり作ってね。私の恋人、たくさん食べるのよ。あ、空港へ迎えに行ってくるから」


ソフィアは呆気にとられているふたりの脇をすり抜けて玄関を出て行った。


「どういうことですか……?」

「それは俺が聞きたい。邪魔しに来たとしか思えないんだが。優香の次はソフィアか……」


ダニエルの問いに、蓮は深いため息をついてソファにドサッと腰を下ろした。

今のソフィアとの会話でどっと疲れを感じているような蓮から栞南は離れてキッチンへ行った。

そこにはトニーがいて、買ってきた食材を冷蔵庫や大理石のカウンターに出していた。

キッチンも使い勝手がよさそうなアイランド型だ。


「トニー、手伝います」

「ミズ・カンナはどうぞレンさまのところへ。ここは大丈夫ですから」

「でも……」


女の自分がなにもやらないというのは……と、栞南は困る。


「まだバーベキューまで時間がありますし、ミズ・ソフィアが戻られたらゆっくりできませんよ。レンさまのところへ行ってください」


(ソフィアさんが戻られたらゆっくりできませんって……恋人も一緒なんだからそんなことないと思うけど……)


「栞南」


キッチンの入り口に立った蓮が困惑している栞南を呼ぶ。
< 8 / 65 >

この作品をシェア

pagetop