武士になりたい!
最初は、単なる独占欲だと思った


芹沢さんにあっさりと口づけされる

しかも、何回もされて


俺にだって、あっさり






いざ、ちゃんと手に入れようとしたら

スルリと逃げられた





まぁ 落とし甲斐があるな









年末の慌ただしい中


「お呼びでしょうか?」


幹部らが、初詣に行きたいとか
何とか


「行けばいいじゃないですか」


真顔で言い切る山崎に、吹いた


「ぶはっ 鈍感すぎだろ
お前と一緒に行きたいってことだ」

「なんで?」

「理由がいるのか?」

「理由がなければ、表に出たくありません
だって…」

「だって?」

「……」


前にもこうして、言い淀むことあったな


「言え」


「えと……」


こんなに歯切れの悪い山崎は、珍しいな

ちょっと面白くなった


「早く言え」

「寒いの苦手…」



皆の目が点になったのは、言うまでもない




少しの沈黙の後、爆笑




「外で張り込みとかあるのに?」

ひいひい笑いながら永倉が言う

「仕事は、頑張れるけど…
初詣って、寒いんやもん…」

完璧に拗ねて、山崎がボソッと言う


それがまた皆のツボだった


「皆で行けや!!ワイは、行かへん!」

ぷんぷんしながら、逃げて行った






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