ただよう、甘いヒト【完】
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コンビニから戻ると、家の扉の前で蹲っている人影を見つけた。
すぐに安城だと分かる。彼があたしを訪ねてきたのは二週間ぶりだった。
今度は真昼間。日曜日。
「あ、織ちゃんだ! 久しぶりー」
「また酔ってるな……」
「だーから、酔ってないって!」
「酔ってる!」
今日も相当酔っているらしい安城は、あたしが鍵を開けるとあたしより早く体を部屋の中へ滑り込ませ、部屋の中へ入った。
この野郎遠慮もクソもねえな?
「今日はどこで飲んでたの」
「うち」
「……へえ。あんたが一人で飲むの珍しいね?」
しかも間昼間から。
彼の本業は確か学生のはずなのだが。確か。飲んだくれでは決してなく。