ただよう、甘いヒト【完】




***




コンビニから戻ると、家の扉の前で蹲っている人影を見つけた。


すぐに安城だと分かる。彼があたしを訪ねてきたのは二週間ぶりだった。


今度は真昼間。日曜日。




「あ、織ちゃんだ! 久しぶりー」


「また酔ってるな……」


「だーから、酔ってないって!」


「酔ってる!」




今日も相当酔っているらしい安城は、あたしが鍵を開けるとあたしより早く体を部屋の中へ滑り込ませ、部屋の中へ入った。


この野郎遠慮もクソもねえな?




「今日はどこで飲んでたの」


「うち」


「……へえ。あんたが一人で飲むの珍しいね?」




しかも間昼間から。


彼の本業は確か学生のはずなのだが。確か。飲んだくれでは決してなく。



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