偽りの御曹司とマイペースな恋を
彼は秘密が多いのです。
恋人同士になってそんなに経ってないし、今までそんなものに興味が無くて
お互いに知識が絶望的にないから友達から色々と情報を得てあれやこれやと
試そうとするのに何時も彼は逃げてしまう。
キスはしてくれるのに。
それ以上はいまだなし。
「何だ」
じーっと彼を見つめていたら視線が合う。
「部屋。えっちな本だらけだったりして」
「料理本だらけの間違いだろ」
「別にそれくらいなら良いよ。1冊だけなら。なんで隠すの?」
「恥かしいから」
「うそ」
部屋は綺麗に整頓されているし、変な本も持ってないことは分かっている。
出張で本人が居ない時は自由に使ってもいいと開放しているのだから。
隠す必要ないのに。
「…俺、人に自分の生活見せるの初めてだから。お前ならいいって思ったけど。
やっぱりまだ不安とかあってさ。もしかしたら人と違う事してるかもしれないし、
お前にだけは変な風に思われたくなくて。ごめん。でも何時かは」
「いいもん。持久戦だよ。私頑張るから」
「歩」
「…イツロ君が私の事スキって言ったら頑張る」
「すき」
「……もっと」
「すき」
「…うん」
耳元で囁くように言われて顔を赤くさせる歩。
瓜生はそんな彼女を抱きしめて嬉しそうに笑った。
ソファは既に組み立ててベッドになっていて布団も敷いてある。
髪も乾き寝る準備は出来た。
2人で寝る時は何時もここ。眠るなら彼のベッドの方がスキだけど仕方ない。
今はこうして一緒に居られる事を楽しもう。歩はギュッと彼に抱きついて目を閉じる。
「…で。もういいか」
「あとちょっとで開きそうな気がするの!だから待って!」
「……」
「よし最後は私のスリーサイズで」
「時間切れ」
「待ってもう少し私にチャンスを下さい。今日こそ鍵あけるからっ」
「……じゃあ、俺洗濯物干してくるから」
眠そうな瓜生にあっさりと抱き上げられ部屋へ強制連行される歩。
このパターンはまだ暫く続きそうだ。