偽りの御曹司とマイペースな恋を
内緒の関係です。


「まったく!お前は何でこんな簡単なことが出来ないんだ!」
「……すみません」
「すみませんじゃないだろ!」

美味しいお弁当に気分が明るくなって。
先輩たちとも新作の話題で話が弾み
楽しいお昼が終わってすぐ、

早速雷が落ちるという最悪なパターン。

ちゃんと確認をしなかった自分も悪いけれど、そんな怒鳴らなくても。
俯いてだんだん悲しくて涙が出そうになるのをこらえる。
これだから新人はとか女はとか思われるのは悔しいから。

「反省しているんですから、それ以上怒鳴る必要はないでしょう。時間の無駄です」
「は?!な、なんですか貴方は」
「……あ」

何時もなら古株の先輩が割って入ってくれるのに、今日は違う。

「こちらの社長である豊中氏より会社建て直しのための援助協力を
お願いされまして。作家でもある父の縁もありますので、
援助の一環として経営陣に加わることになりました。
瓜生一路と申します、今後は私に話を通し、報告してください」
「……え」
「え!?」
「早速ですが売上が著しく落ちているものを幾つか切って頂きます。
それにかわるものを会議を行い、幾つかプランをまとめ私に提出してください。
後でしよう、は無しにしてくださいね。行動は迅速に、無駄のないように」
「……は、はい。…わかりました」

いつもの顔と違う、仕事をしている瓜生だ。
歩はびっくりしたけれど何も言わずただ俯いていた。
なんとなく声をかけづらいから。怒られそうで。
無言で居たら相手も特に何も言わず出て行った。

「び、びっくりしたな」
「会社が傾いてるのは本当だったか…」
「あれが噂の瓜生さんか。若いなぁ」
「厳しそうな人だったな。…リストラとかないよな?」

どういうことだろう。そんな話朝はしてなかったのに。



「……父さん。説明を」
『燃えるだろ?』
「……」
『もっと燃料入れてやろうか』
「もういいです。結構です」


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