偽りの御曹司とマイペースな恋を
「歩。どうした?何かあったか?」
徐々に声を荒げていったから
最後の声についに瓜生が心配になって部屋をノックする。
「別に何でもない」
深呼吸してから歩はドアを開ける。
「そうか?何か、馬鹿って聞こえたぞ?」
「…バカじゃないし」
「怒ったのか?それでやけになって叫んでたのか?」
「違う」
「ごめん、歩。俺」
「1時間後にお出かけしてきます。ご飯はいらないです」
「え?何だ。遊びに行くのか」
「そんな所」
「……」
「3Dプリントしたら見せてね」
「……、ああ」
ぎゅっと彼の胸に抱き付いて離れない歩。
瓜生はよくは分からないがとりあえず彼女の頭を撫でる。
歩に手を引かれリビングまで戻ってくる。雑誌は片付けられていた。
「1時間たっぷりラブラブしておこうね」
「え?…ん?…え?」
ソファに座るとすぐに歩は瓜生の膝に座り彼の首に手を回す。
何で行き成りそうなるのか分からず目が点の瓜生。
「…完全は無理でも仲良くしたいもん」
「ん?」
「ほらぎゅっとして。触って。撫でてもいいよ」
「……」
「頭じゃなくって。…お尻とか」
「……」
瓜生は視線を泳がせ最終的に歩の背中を撫でる。
お尻には程遠い。
けど、歩はそれでも満足そうに彼のおでこやら頬にキスをした。
彼女がご機嫌なのが伝わったようでやっと瓜生も表情を緩ませる。