偽りの御曹司とマイペースな恋を
予定時間まで2人で時間をつぶし。
「じゃあ行ってきます」
お出かけ用の身なりに整えてさあ出発。
「待て」
しようとしたら呼び止められた。
「なに?」
「その短いの何だ」
「スカートだよ?」
「そうなのか。じゃあそれは不良品だ」
「ほつれてた?おじさんがくれたから高いのだと思ってた」
「あの人から貰うな。変なものしかよこさない」
「ちゃんとレギンスはいてるからパンツ見えないよ?」
「そういう問題じゃない。駄目だ」
歩の恰好は明らかに彼女の普段着とは違う。
だから瓜生はあの人が絡んでいるのだろうとは思っていた。
歩がこんな短いスカートで街を歩くなんて許せない。
本人は素足でないからいいというが。
「背ちっちゃいからそんなやらしい事にはなってないと思うし」
「そんな事ない。十分だ。…それで行かないでくれ。その、父さんだけでなく
なんとかっていう有名な作家も居るんだろう?男なんだろ?」
「…でもな」
歩が尊敬してやまない有名作家様との食事。
誘ってくれた瓜生父の要望。
他にそういう場面で使えそうなおしゃれな服がないというのもあるけれど。
だが瓜生は真剣な顔だ。このままじゃ外へ出さないと言わんばかりに。
「じゃあお前の大好きな宇宙の神様にお祈りしてその作家殺してやる」
「わあすごい事言ってる」
それでも渋ったら真顔でとんでもないことを言い出した。
普段の彼なら絶対言わないこと。それくらい怒ってる?
「召喚の仕方とか覚えてるから。今すぐにでも始めて」
「分かりました。違うので行きます。続き読みたいんだから呪っちゃ駄目!」
「ズボンな」
「はい。…じゃあこれはイツロ君とデートの時にとっとこう」
「それで外に出るな」
「じゃあお部屋でイツロ君に迫る時にとっとこう」
「……。だめだ。それは封印しろ」
「やだ」
「しないとお前のご飯も弁当も全部グリンピース」
「ぐええ」
それは困るのでやむなく封印。
ズボンに着替え少し遅れたが瓜生に見送られ部屋を出た。
食事が終わったら迎えに行くから電話してくれと言われている。