偽りの御曹司とマイペースな恋を



何時もは一人で寝ていたベッドに二人で眠る。

たとえ、何をするわけでもなくても。

ずっと頑なに部屋に入れず鍵をかけていた瓜生が誘ってくれた。

それが嬉しくて。

「……」
「……ね、ねえ」
「……ん」
「……触るって」
「うん」

でもこんな頭を延々なでなでされるのはちょっと不愉快。

最初は嬉しかったけど、
何だか猫でもベッドに乗せて撫でてるみたいで。
どうせならもっと違う場所もなでてほしいのに。

「……ねえ、確認してもいい?」
「何を」
「彼女だって思ってる?」
「思ってる。何回聞かれてもそう答える」
「なら、いいけどさ」

心地よい温もりと頭を撫でられてだんだん眠くなってきて。
目がウトウトとしだす。もっと色々とやりたいことがあるのに。
せっかくのタイミングなのに。

「こんな俺と付き合ってくれるお前は本当に愛しい。だから、な?
そんな怖い顔しないで寝よう」
「ちょっと傷つく」
「え?」

別に今は怒ってないのに、ただ眠い顔を怖い顔とか言わないで。
歩はふくれっ面をしつつ瓜生に背を向けて目を閉じる。
でもちゃんと彼の腕枕ともう片方の手をぎゅっと握りしめて。

「…でもいい。眠いから、寝ようイツロ君」
「ああ。おやすみ」

彼に包まれるように抱きしめられて眠りについた。



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