一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「おまえ、ほんと使えねーな」
その言葉が自分に向けられていると気づくのに、数秒かかった。わざわざ来てもらって申し訳ない。そう言われると思っていたから。
「……私、ですか?」
「他に誰がいるんだよ!」
怒りとも悲しみともつかない感情が湧きだして、握った拳がわなわなと震える。
「開院準備中の病院なのに、二台しか納品しないってどうして思う訳?」
「すみませんでした。考えればわかることでしたが、三上さんが作成した発注書に二台と記載されていたのでそのまま配送手配をしてしまいました」
私は事実を述べたつもりだった。しかし、隆の怒りを余計に買ってしまった。
「つまり、今回の件は三上のせいで、自分は悪くないといいたいのか!」
「そんなつもりはありません。ただ、このようなことは今後もないとは言えませんので、営業部内でも発注書の最終確認をもっとしっかりした頂けるとありがたいです」
これは当然の申し入れ。そう思っていたのに、隆は頷くどころかさらに眉間のしわを深くする。
「はあ? なに言ってんだよ。そんなのは責任逃れだろう。ほんと腐ってんな! 最終確認を怠ったのはお前だ。違うか?」
「そうです」
「だろう。そのせいで、この病院は明日から患者の受け入れができないかもしれないそうだ。どう責任を取るつもりだ」