一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
隆の話によると、ここの病院の正式な開院はひと月後になるそうだが、明日から関連病院より入院患者の受け入れを始めるそうだ。
人工呼吸器は各セクションで数台ずつ確保しなくてはならないため、二台では全く足りないということだった。
緊急事態に対応できないとなると、患者の受け入れを先延ばしにするしかなく、ココだけの問題ではなくなってしまうようだ。
「残りの人工呼吸器ですが、現在センターの方で今後の納品予定のものやリースの代替え機も含めまして台数確認をしている最中です」
新品を二十代確保するのは困難だが、台数はそろえることができるはずだ。
「もしかしたら今日中に二十台全てを確保できるかもしれません」
「もしかしたらじゃ困るんだ。これは信用問題なんだよ。せっかく取り付けた大口の契約だったのに、切られたらどうする。会社にとっては大きな損失になってしまう」
隆の言葉に、一緒にいた本社のエンジニアは大きくうなずいた。双方から攻められているようで、いたたまれずこの場から逃げ出したくなった。しかし、社会人としてそんなことは出来るはずもない。
「とにかく謝罪させていただきます」
この問題の根幹がなんであるのか。考えるべきことは山のようにあったが、今の私がしなければならないことはこれしかないだろう。おそらく隆はそうさせることを望んで私をここへ呼び出したのだから。
「当然だ。もうすぐ開院準備室の担当者がお見えになる。お前の首を掛けて謝罪しろ!」