一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

 翌日、私は本社に呼び出された。

予定の時間は九時。三十分早く会社のビルに到着してしまったので、一階のコーヒーショップでカフェラテを注文し、テイクアウトはせず店内で飲んだ。

ビルの中に吸い込まれていくスーツ姿の人々を眺めながら昨日の出来事を思い返す。

あれから、不足していた十八台を確保することができたとセンター長から連絡がきて、夜中までかかって納品した。

センター長の人望と全国に散らばる営業所の協力がなかったら出来なかったと思う。

こんな思いは二度としたくない。

「……はぁ」

 ついついため息が漏れてしまう。どうして本社に呼び出されたのか、要件は伝えられていないが昨日の件だろう。

朗報か、それとも悲報か。おそらく後者だろう。考えるだけでまたため息が出る。

「そろそろ時間だ」

冷めてきたカフェラテを飲み干して、私は会社へと向かった。

「お疲れさまです、天野です」

 本社IDカードのない私は受付に声を掛けた。

「ああ、天野さん。お疲れ様です。ご案内するように言われてます。どうぞ」

「はい」

 勝手知ったる社内を、部外者のように案内されるのは不思議な気分。

どこまで行くのだろうと思っていると、重役の部屋が立ち並ぶフロアーまで来てしまった。

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