一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
それから私は営業部へと向かった。幸い隆の姿はない。外回りに出ているらしかった。まどかは私の姿を見つけるとどこかへ行ってしまった。
部長に挨拶をして、手続きに必要な書類を受けとる。菱沼さんと話したいことが山のようにあったけれど、お互いに仕事がある。今夜のディナーを約束し、私は物流センターへと足を運んだ。
「おはようございます、センター長。昨日はご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
「なんで来たんだ」
読んでいたスポーツ新聞を少しだけ下にさげ、私をチラリと見る。
「なんでって……」
「さっき社長直々に電話があった。お前はもうここに人間じゃないだろう」
確かに今日付けで営業部に出戻りだ。だからと言って、そんないいかたしなくてもいいと思う。
「でも、今日の仕事はどうするんですか?」
「その心配はない。なんと、リカちゃんが戻ってくることになったんだ。暇だから午後からくるって言ってくれてな」
「リカちゃん?」
「さすが社長ともなると、粋な計らいができるもんだな。さすが俺の元部下」
ほくほく顔でそう言うと、「最後にお茶でも入れていけ」空になった湯飲みを差し出した。