一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
それから美味しい料理を堪能するとレストランを出て、菱沼さんとは駅で別れた。
游さんは今日も仕事で遅くなるらしい。最近ずっと忙しそうにしている。
会えない時間がもどかしい。游さんの気持ちは分からないまま。だからこそ、私はもっと游さんを知りたい。そして私を知ってもらいたい。
実は初回費用がほとんどかからない物件を見つけてしまったのだけれど、それはいいだせないままだ。
アパートのドアを開けるとムッと熱気を含んだ空気が流れだす。外の気温よりも高いなんて。うんざりとしながら部屋の中に入った。すると、テーブルの上に見慣れないリモコンが置いてあった。
「なに、これ?」
正体は直ぐに分かった。エアコンが窓際の壁に取り付けられている。
「エアコンだ! いつの間につけたの?」
おそらく仕事の合間に戻ってきて、工事に立ち会ったんだろうけど、いってくれたらいいのに。なんて嬉しいサプライズだろう。これじゃずっとここにいたくなっちゃう。
「でも、またお金を使わせちゃったな」
機能のいい最新型のエアコン。これをポンと買えてしまうなんて游さんって、実はお金持ち?なんてありもしない想像をしてみる。
「変なこと考えてないで、シャワー浴びてこよう」
その夜は、游さんのおかげで久し振りに安眠を得ることができた。