一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

 新宿から電車を乗り継いで最寄り駅に着くとロータリーでタクシーに乗る。

私は後部座席に身を沈めると、新製品のパンフレットに何度も目を通した。「どうせ行くなら営業してこい」そう菱沼さんに言われて渡されたものだ。まだ、上手くプレゼンできないのだけれど。

病院へ到着すると新しい名刺をしたためて理事長室のドアを叩く。すると永峯理事長は笑顔で私を迎え入れてくれた。

「どうぞ、お入りください」

「ありがとうございます、永峯理事長。フタバメディカルの天野です。本日はお忙しい中、お時間を割いてくださってありがとうございます」

「堅苦しいあいさつはいりませんよ」

 理事長は私の言葉を右手で制止ながらこう続けた。

「それよりお昼はもう召し上がりました?」

「いえ、まだです」

 午前中はギリギリまで会社で仕事をしていたので、食事をとる時間がなかった。

「ではご一緒にいかがですか?」

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