一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
案内されたのは病院内にあるレストラン。最上階にあり、窓際の席に座るとこの一帯を見渡せる。きっと夜景も綺麗なんだろうと想像した。
「今はプレオープン中で、職員や業者が利用していますが、開院後は患者様がメインのレストランになるでしょう。状態が許せば、入院中でも利用できます。病院食もここで食べられる様にしました」
「なるほど、見舞客と一緒にご飯が食べられるわけですね。素敵!」
「天野さんにそう言ってもらえるとうれしいです。さあ、メニューをどうぞ」
永峯理事長が差し出したメニューを受け取ってパラパラとめくってみる。
プレオープンということもあり、提供できないものもあるようだが、普通の食事の他に減塩食や、低蛋白食などの治療食も注文できるようだ。さすがは病院のレストランだけのことはある。
「決まりましたか?」
「はい。私はハンバーグプレートにします。理事長先生は?」
「私は蕎麦にします。この頃お腹の出具合が気になってね」
そう言って笑う永峯理事長の体形はスマートで、ダイエットなんて気にする必要はないように見みえる。
游さんもそうだ。夜中に食べると太るとか、いつも言うのだけれど、比べるまでもなく、理事長はお医者様。なにかと指導する立場の人は、食生活には必要以上に気を使うのかもしれない。