一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「こちらを差し上げます」
受け取った封筒の表面に視線を落とすと金の文字で“Invitation”と刻印されている。
「招待状ですか?」
「はい。息子の誕生会をするんですよ」
「息子さんの?」
理事長の息子さんということは、私と同じくらいか少し上だろうか。理事長に似ていたらかなりのイケメンに違いない。
「ええ、そうなんです。もういい年なんですが、医者の仕事が忙しくて浮いた話もなくてね。表向きは誕生会なんですが、花嫁候補を選ぶパーティーでもあるんです」
「はあ」
「親ばかですな」
理事長は少し困った様にほほ笑んで見せる。大病院のご子息ともなると、結婚相手もそれなりの相手でないといけないのだろう。大変そうだ。
「まあ、息子のことは置いておいて、私も仲間たちと演奏するつもりなので、ぜひいらしてください。麻布の三ツ星レストランを貸し切りましたので料理もそれなりに期待できますよ」
そう言いながら片目を瞑る理事長に、私は笑顔で返事をした。
「それなら喜んで伺います」