一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

僕の家は代々医者の家系で、病院をいくつか経営していた。それを知っていて近づいてくる女の人は多くて、中には僕じゃなくて僕の財産に興味があるとか、医者だから好きになったんだって堂々と宣言する子もいた。

初めて付き合ったのは高校生の時。恋愛に純粋だった僕は、その子のことを本当に大切にしたし、将来を誓ってもいいとさえ思った。

けれど、ある日彼女の本音を聞いてしまった。あの頃の僕は普通の高校生と同じようなお小遣いしかもらっていなかったし、学業優先でアルバイトはしていなかった。
だから、デートの食事はきまってファストフードだし、プレゼントといっても、雑貨かせいぜいティーン向けのアクセサリーくらいしか買うことが出来なかった。

あれはクリスマスの日。お決まりのファストフード店で渡したプレゼントの包みを開けた彼女はあからさまに嫌そうな顔をしていったんだ。

「お金持ちだから付き合ってるのに、こんなものしかくれないの?」

 僕はその瞬間には何を言われているのか理解できなくて、ただ笑うしかなかった。

「キモイんですけど」

 彼女はそう吐き捨てて、店を出て行った。


 それから数日後には別の彼氏を作っていて、そいつが金持ちの息子だと知った時、彼女が好きだったのは僕じゃなくて僕が持っているであろうお金だって気付いた。


< 132 / 192 >

この作品をシェア

pagetop