一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「ごめん、由衣子。てっきり知ってるんだと思ってたから。游さんがお医者さんだってこと」
私は久しぶりに紘子を夕食に誘った。そして、游さんとのことをすべて打ち明けた。あの誕生会の日から二週間がたっていた。
「知らなかったよ。もっと早くに言ってくれたらよかったじゃん、紘子」
「本当にごめんね。それで、今どこに住んでんの? あ、すみませーん、塩レバ二本」
紘子はカウンターの奥に声を掛ける。ここは恵比寿の駅から少し歩いたところにある焼き鳥屋で、予約が取れない店なのだが今日はたまたま席が空いていた。
「今はマンスリーマンション」
游さんのアパートを飛び出した私は数日間ホテルに泊まった後、マンスリーマンションを借りた。
少し前にこういう選択もあるんだと思いつき、いろいろ調べておいてよかったと思っている所だ。
「游さんはなんて?」
「あれから会ってないから分からない。電話も出てない」
実は電話だけじゃなくメールも未読のままになっている。
「どうして出ないの?」
紘子の質問はもっともだ。私は少し考えてからいった。