一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「ただいま」
游さんが帰宅したのは夜の九時を過ぎてからだった。
「おかえりなさい、遅かったですね」
玄関まで出迎えた私は、游さんが抱えていた荷物を半分受け取った。
「うん。あれから勤務している病院に運んでもらって、僕が診たんだ」
「游さんが?」
話をしながらリビングに入ると、游さんはソファーに身を沈めた。
「そうそう。別の病院に搬送するといちから説明しなければならないでしょう。だったら自分で診たほうが早いと思ってね」
「かわいい子でしたもんね」
「そういうんじゃないよ。でも、嬉しいな、由衣子ちゃん妬いてくれてるんでしょ?」
「違います!」
慌てて否定した。患者さんに嫉妬したなんて知られたらガッカリされるかもしれないと思ったから。
「なんだ、ちがうんだ。残念だな」
游さんはそう言って、私を手招きする。遠慮がちに近づくと、私の手を引いて自分の膝の上に座らせた。
「あの子には嫉妬してませんけど、正直言いって病院は女性が多い職場なので心配ではあります」
看護師と医者の不倫は多いという噂だ。
「そこは安心してくれていいよ。医者は浮気性だとか言われてるけど僕は違うから。それに、こんなに可愛い彼女がいるのにほかの子に目が行くわけないじゃん」
腰に回った手に力がこもる。
「もちろん、游さんのこと、信じてます」
私は游さんの手に自分の手を重ねていった。
「うん。じゃあ、お風呂に入ろうか」