一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「天野さんずるい!」
「ずるいって、なに言ってるの!」
「どこで見つけたんですか? こんな素敵な人!」
「プライベートなことは答えられません! それより、そんなに引っ張らないでよ」
游さん引っ張り合い状態になってしまい、このままでは痛いだろうと思った私は彼の腕を離した。すると游さんは困った顔で優しくまどかを諭す。
「申し訳ないけど、彼女との時間がこれ以上削られるのは辛いんだ。だから解放してくれる?」
さすがのまどかもこれで引き下がるだろうと思ったのに、「じゃあ、駅までご一緒させてください」と譲らない。仕方なく三人で会社を出て、駅に向かう。
その道すがらまどかは游さんをあれこれ質問攻めにしている。
「すごい! お医者様なんですか~」
「別にすごくないよ」
「そんなことないです。とても立派なご職業ですよ。実はまどか、今、彼と上手くいってなくて、夜も眠れずにこまってるんです~。だからぜひ、相談にのって欲しいな、なんて」
もしかしたらこうやって、隆の時もすり寄ったんだろうか。男はこういう女に弱いのだろう。まさか游さんも。
不安に感じて游さんを見上げる。すると、游さんは満面の笑みを浮かべてまどかにこういった。
「まずはその彼氏とよく話し合ったほうがいいんじゃない? ちなみに僕の専門は外科なんでね。そう言う相談をするなら知り合いの精神科医を紹介するよ。……それじゃあ、駅に着いたから。僕たちはこれで失礼します」