一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「せっかく車で来たんだし、今日は横浜まで行ってみる?」
游さんはナビをいじりながら言う。
「遠出してもいいんですか?」
もし、病院から呼び出されたら戻るのが遅くなってしまう。大丈夫なんだろうかという思いで游さんを見る。すると游さんは私を安心させるように言った。
「大丈夫。今日は呼ばれないようにしてきた。最近デートする時間も取れなかったでしょう?」
「そうですね」
こうして二人で居られることもほとんどなかった。
「僕にだって休みは必要だよ。そう思うでしょ?」
「はい。じゃあ、今日は游さん独り占めできますね」
車は横浜方面へと向かって走り始めた。その時、私のスマホが鳴りだす。
「出たら?」
そう游さんに促されてカバンから取り出してディスプレイを覗く。紘子からだった。
「もしもし」
私が電話に出たタイミングで今度は游さんのスマホが鳴り出した。游さんは車を路肩に停車させる。誰からだろうと思いながら紘子と通話する。
《もしもし、由衣子?》
紘子は今から会えないかと言ってきた。話したいことがあるそうだ。電話で話せないのかと聞くと、会って話がたということだった。私は一度電話を切る。すると、游さんも丁度電話を終えたところだ。