一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

「電話の相手、紘子ちゃんからだったでしょう?」

「はい、なんでわかったんですか?」

 私は驚いて游さんをみつめる。

「なんでだと思う? 今の電話、慎一郎からだったんだけど、四人で会って話がしたいって言われた」

「四人で? 紘子はそう言ってなかったですけど、同じ要件に間違いなさそうですね。なにかあったんでしょうか?」

「さあ、どうだろう。心配?」

「はい」

「じゃあ、会いに行く? 僕はあんまり乗り気じゃないんだけどな」

 游さんは私の手をそっと握る。せっかくの二人だけの時間。無駄にしたくない気持ちはある。

「私も游さんと二人だけで過ごしたかったんですけど、でも、游さんと出会えたのは紘子のおかげでだし。彼女があんなこと言うなんて余程のことだと思うんです。だから行ってあげたい」

「うん、そうだね。由衣子ちゃんならそう言うと思った。行こうか」

「はい。私、紘子に電話します」

「そうして。ついでにどこに行けばいいのか聞いてくれる?」

 游さんは車を走らせて、私は紘子に電話を掛けた。

「もしもし、紘子。話し聞きに行こうと思う」

《ほんとに? ありがとう。実は、今慎一郎と一緒なの》

「うん、私も游さんと一緒にいてそうきいた」

《なんだ、そうだったの! 邪魔してゴメンネ》

「ほんとだよ! それで、どこに行けばいい?」

 紘子は自分のマンションを指定した。私は游さんにそれを伝える。

「了解。ここからだと四十分くらいかかるかな」

「分かりました。伝えます」

 私は紘子に四十分程で到着すると伝え電話を切った。


< 168 / 192 >

この作品をシェア

pagetop