一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「電話の相手、紘子ちゃんからだったでしょう?」
「はい、なんでわかったんですか?」
私は驚いて游さんをみつめる。
「なんでだと思う? 今の電話、慎一郎からだったんだけど、四人で会って話がしたいって言われた」
「四人で? 紘子はそう言ってなかったですけど、同じ要件に間違いなさそうですね。なにかあったんでしょうか?」
「さあ、どうだろう。心配?」
「はい」
「じゃあ、会いに行く? 僕はあんまり乗り気じゃないんだけどな」
游さんは私の手をそっと握る。せっかくの二人だけの時間。無駄にしたくない気持ちはある。
「私も游さんと二人だけで過ごしたかったんですけど、でも、游さんと出会えたのは紘子のおかげでだし。彼女があんなこと言うなんて余程のことだと思うんです。だから行ってあげたい」
「うん、そうだね。由衣子ちゃんならそう言うと思った。行こうか」
「はい。私、紘子に電話します」
「そうして。ついでにどこに行けばいいのか聞いてくれる?」
游さんは車を走らせて、私は紘子に電話を掛けた。
「もしもし、紘子。話し聞きに行こうと思う」
《ほんとに? ありがとう。実は、今慎一郎と一緒なの》
「うん、私も游さんと一緒にいてそうきいた」
《なんだ、そうだったの! 邪魔してゴメンネ》
「ほんとだよ! それで、どこに行けばいい?」
紘子は自分のマンションを指定した。私は游さんにそれを伝える。
「了解。ここからだと四十分くらいかかるかな」
「分かりました。伝えます」
私は紘子に四十分程で到着すると伝え電話を切った。