一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
目頭が熱くなって、涙が滲む。私ばかりがどうしてこんなに辛い思いをしなければならないんだろう。
明日で二十五歳になるっていうのに、こんな状況で誕生日を迎える羽目になるなんて。
デスクに戻ってしばらくは、動くことすらできなかった。スクリーンセイバーのアニメーションをぼんやりと見ているだけ。
「戻りました――って、どうした、天野」
外回りから戻ってきた菱沼さんは、放心状態の私の肩を揺すった。
「菱沼さん。私来月から物流センターへ移動することになりました」
「……え、なんでまた」
私は先ほど部長が言ったことをそのまま菱沼さんに話した。
「そんなのおかしいよ! 私部長に掛け合ってくる」
菱沼さんは鞄を放り投げると、部長の所まで走った。
「部長、お時いただいてもよろしいですか?」
「なんだ、菱沼」
「ここでは何ですので、あちらで」
渋る部長を強引にミーティングルームへと押し込む。