一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
「……ちゃん、由衣子ちゃん」
名前を呼ばれ、私は夢の世界から引きずり出されてしまった。
とても素敵な夢を見ていたのに、邪魔をするなんて酷い。
目を閉じたまま、少し不機嫌な声で答える。
「……ん、なに?」
「そろそろ起きて」
「……游さん?」
私はがばっと跳ね起きる。すると少し驚いたような顔の游さんがベッドの端に腰かけていた。
「やっと起きた。ずいぶん気持ちよさそうに寝てたから、そのままにしていたんだけど、全然起きる気配がないから起こしちゃったよ。ごめんね」
「ぜんぜん、起こしてもらってよかったです。……あの、今何時ですか?」
私は恐る恐る尋ねる。
「まだ六時」
……六時。ということは、八時間も爆睡していたことになる。
「ごめんなさい! 夕ご飯まだなんです!」
若干パニック気味の私をみつめて游さんはにこにことしている。
「そんなに焦らなくてもいいよ。まだ、お腹すいてないし」
「……でも私、夕ご飯作って待ってますだなんて言ったのに、本当にごめんなさい。それにまだ、買い物にも行っていないんです」
「じゃあ、一緒に行こうか、買い物」
「いいんですか?」
「もちろん」
游さんの言葉に甘えて、二人で近くのスーパーに向かった。