一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

「そろそろ時間だ」

 游さんは玄関でスニーカを履いた。もちろん通勤服は、Tシャツに、ジーンズというラフなスタイル。スーツフェチの私には、目の保養にもならない。

「いってらっしゃい、游さん。今日は帰ってきますか?」

 游さんと暮らし始めて分かったこと、それは彼の仕事はとても不規則だということ。おそらく仕事先が二つ以上ある。そのどちらかで夜勤もしているようだった。
游さんは仕事のことをあまり話さないので、私も余計な詮索をしないようにしている。

「うーん、どうだろう。帰れたら帰るよ」

「……それだとなあ」

 私は言葉を濁した。游さんの分の夕ご飯をどうするかが分からないからだ。

この間は、夕方には帰ってくると言っていたので、冷やし中華を作った。
しかし、游さんが帰ってきたのは深夜零時を過ぎていた。結局游さんは、伸びきった冷やし中華を食べる羽目になってしまった。

それはまだいい方で、丸二日帰ってこない日もある。そんな時に限って、大きなハンバーグを作ってしまい、二日にわたってひたすら食べたのはつい、数日前の出来事。

「じゃあ、連絡する」

「そうしてくれると助かります」

 私は游さんを見送ると、三十分後にアパートを出た。

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