一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
タクシーを降りると、まだ予定の時間まで少しあったので、私は近くのフラワーショップに立ち寄ることにした。素晴らしい演奏を聞かせていただいたお礼に花束を渡そうと思って。
「花束を、作って欲しいんです」
「花束、でございますね。どのようになさいますか?」
「ええと、どんな感じのものを渡せばいいんでしょうか」
受けた質問を質問で返してしまい、店員さんは困惑した表情を浮かべる。
「……お祝いでしょうか? それとも、お見舞い?」
「お祝い、というかお礼です」
「そうですか。それで、お渡しするのは女性ですか?」
「いえ、男性です。年配の方……あの、私、どのようなものがいいのか分からないので、お任せでお願いします」
すると店員さんは、笑顔で頷いてくれた。
「かしこまりました。店内で少々お待ちください」
「はい」