一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
私は花束が出来上がるまで、店内を見て回った。
思えば私は自分で花を買い求める習慣がなくて、それこそ、冠婚葬祭などの何らかのイベントごとでしか利用することがない。
「へえ、雑化も置いてあるんだ」
お洒落な園芸用品や、木製のチェスト、サンキャッチャーや、アロマキャンドル。奥を見ると、小さなカフェスペースもある。
菱沼さんにはコーヒーでも飲んで待って居てもらおうか。そう考えた私は ふと店の外を見た。
しかし、菱沼さんは誰かと電話をしている。その様子から、仕事の電話だろうと思った。
「邪魔しちゃ悪いよね」
私は声を開けるのを諦めて、今度は階段を上がり二階まで上がってみた。ちょうどワークショップが開かれていて、数名の女性がプリザードフラワーのアレンジメント作っている。
「私もやってみたいな」
ワークショップカレンダーなるものを一枚手に取り、その様子を少し眺めてから一階に降りた。するとちょうど、注文した花束が出来上がる所だった。
「お客様、お待たせいたしました。こちらでいかがでしょうか?」
華やかでありながら、とても上品で落ち着いた雰囲気。持ち手に結ばれたブラウンのリボンが高級感を醸し出している。
「素敵! ありがとうございます」
支払いを済ませ、店の外に出る。菱沼さんはまだ誰かと電話をしていた。私はそれが終わるのを待って、目的の店まで移動した。