一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

……でも、違った。

私の視線の先。半開きになったドアの隙間から見えたのは、裸でベッドに横たわる隆と、その上で乱れる同じ部署の後輩・三上まどか。

「ああん、隆さん。まどか、いっちゃう~」

まどかのわざとらしい喘ぎ声に、 私の頭の中でなにかがプツリと音を立てて切れた。ためらいもなくドアを開けると寝室の中に踏み込む。

そしてまどかの肩を掴んで隆から引きはがす。すると彼女はビタンと大きな音を立てて床に転がり落ちた。

「いったー、もう、なに?」

まどかは腰をさすりながら私を見上げた。そして隆は、前も隠さずにベッドから跳ね起きる。

「由衣子。お前、帰ってくるのは、明日じゃなかったのかよ」 

「悪かったわね、今日帰ってきて。それよりもこれ、どういうこと? 説明してよ、隆」

「それは、その……」

 その後は修羅場だった。

あくまでも、被害者は私のはずで、泣くこともできないくらい辛かった。

なのに、わざとらしく泣き出したまどかを、隆は抱きしめた。

「まどか、大丈夫だからもう泣くな。俺がちゃんと守ってやる」

まるで恋愛映画のワンシーン。もちろん、主人公は私ではないのだけれど。



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