初恋物語
そして、中には唯人と凛宛の手紙も。

父親と比べると若干字は少ないが。


『唯人へ
大好き。それしかいえない。
唯人が小さかった頃、ほんとに可愛かったな。あ、今でも可愛いわよ?
私ね、重い病気にかかったの。言わなくてごめんね。
きっとこの手紙を読んでるなら、私はもうこの世にいないのね。


私、唯人が俳優になってくれたら嬉しいな。
なーんて、私の妄想。冗談よ。
でも、私の名を継いで、新たな桐島結依子をつくりあげて欲しい。
約束してくれるなら、私はどんなに嬉しいことか。
結依子』


震えながらも書いた手紙というのがよくわかった。

...俳優。それって、母さんが俺を導いてたってこと?
偶然?
自分でもビックリしてるよ、俳優になろうなんて。

でも、一番驚いたのは、凛宛の手紙だった。


『凛ちゃんへ
二人の手紙を置いてくれてありがとう。さすが凛ちゃん。仕事はこなすね!
私、凛ちゃんみたいな子が唯人のお嫁さんになって欲しいな。
なんてね。ふふ。きっと唯人も喜ぶわ。


...病気のこと、最後まで誰にもいわないでくれてありがとう。
小さい頃だったから少し戸惑った?
私ね、凛ちゃんが、私と医者の話聞いてたの知ってたのよ。
凛ちゃんが走って泣いてる姿、実は見えてたの。見えてないふりしただけで...。
ごめんね、ごめんね。

あと、唯人を幸せにしてね。唯人をよろしくね。
結依子』


「凛......母さんの病気、知ってたの...?」
凛は知らない、と嘘ついたんだ。
小さい頃...。いつ聞いたんだろう。
もしかしたら、あの約束の前に聞いてたとか......??

謎は深まるばかり。



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