初恋物語
「まずは、基本ね。俳優は、どんなお芝居でも、全力で最後までやりきる事。
途中で投げ出したら、あなたはダメな新人と思われるわ。」
「途中でなげださない...。」

「そう。たとえキスシーンであっても、抱き合うシーンでも、一緒にねるシーンでも、その役になりきること。照れたらおしまいだよ。」
「それは、凛と出来るの?」
「えっ.........!?」



出来るの?っていわれても...。
唯人とキスシーン...。想像したら、顔が赤くなってきた

凛は急いで話をそらす。



「そういえば、オーディションには相手役が必要らしいけど...。
誰にするの?これは一般の人でもいいらしいよ。」

「凛。お前がやって」


「...私?!いいけど...。」




試しに台本を読ませてもらった。
どれどれ、と見ていくと、あるシーンを発見した。
それは抱きつくシーンだ。
えっ、えっ、私が......唯人に?
でも、これもお仕事の一つ。何事もこなさなくてはならないって、唯人に教えたのに、いきなり守んないのはダメだ。


「じゃ、じゃあ、早速この台本の練習しよっ...!玲役は唯人で、私は亜依役ね。じゃ、よーい、スタート!」
凛は同様を隠せない。



「......あのさ、玲」
『......ん?なに』
唯人は棒読みになっていた。素人だからしょうがないけど...。
そう思った瞬間、唯人の目付きは変わった。

まるで、本当に自分の世界にはいってるみたいに。



「私、玲の事が好きなのっ。」
『......俺、亜依を幸せにする自信はない。でも、それでもいいなら』




一気に唯人の演技がかわった。
そして、凛は唯人に抱きついた。 と、ここで演技は終了。





あの演技......。なんだか結依子さんに似ていた。





もしかして、唯人...。俳優の才能あるんじゃないの.........?
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