いかないで


「い・・・ろ・・・?」


まだ私の名前だって呼べるのに・・・。



「お父さん!?」



私がお父さんを呼ぶとにこっと微笑む。


この顔が大好きだった。

小さい頃はこの顔が見たくていつも頑張ってた。


弱々しくなった手を私の頭にのせる。


ぽんぽんとされる。

頑張れよって言われてるような。


お父さんの前では泣きたくなかったのに
涙が止まらない。


泣くな!泣くなよ・・・わたし・・・。


好きな人にみせる最後の顔は笑顔がいいのに・・・。


泣き顔より笑顔のほうがいいのに・・・。


< 68 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop