スノウ
はっと夢から覚めた。
雪の上に手をついて、起き上がる。
目の前には、白い雪原。
彼はいなかった。
いない。
でも。
私は空を仰ぐ。
無数の雪のかけらが、ふわふわと舞い、ゆっくりと降りてきて、そして優しく私の頬を撫でた。
私の唇に触れた。
そうだ。
彼はいつもこんなふうに優しく、慈しむように、私に触れた。
口を開くと、雪がひとつ、ふたつ、私の中に入ってくる。
舌の上で溶けて、私の身体の一部になる。
涙が溢れて頬に伝った。
頬で溶けた雪と、私の涙が混じる。
彼の雪と私の涙が混じる。
―――会いに来てくれたのね。
あなたは私と一緒にいてくれるのね。
永遠に………
私は雪の上に横たわり、目を閉じて、
いつまでも、いつまでも、彼の雪を全身に浴びつづけた。
*Fin.
雪の上に手をついて、起き上がる。
目の前には、白い雪原。
彼はいなかった。
いない。
でも。
私は空を仰ぐ。
無数の雪のかけらが、ふわふわと舞い、ゆっくりと降りてきて、そして優しく私の頬を撫でた。
私の唇に触れた。
そうだ。
彼はいつもこんなふうに優しく、慈しむように、私に触れた。
口を開くと、雪がひとつ、ふたつ、私の中に入ってくる。
舌の上で溶けて、私の身体の一部になる。
涙が溢れて頬に伝った。
頬で溶けた雪と、私の涙が混じる。
彼の雪と私の涙が混じる。
―――会いに来てくれたのね。
あなたは私と一緒にいてくれるのね。
永遠に………
私は雪の上に横たわり、目を閉じて、
いつまでも、いつまでも、彼の雪を全身に浴びつづけた。
*Fin.