君がすきだ。~ほろ苦バレンタイン~
LOVE.1
「こうたくんっ。」
ドクン、ドクン、
胸が、たまらなく苦しくて。
心臓は、跳びはねて今にも口から出てきそう。
「ん?なに?」
見つめていた背中は、さらりと前髪を揺らして振り返った。
「あ、えっと、ごめんね。…今、ちょっといいかな?」
どこかから聞こえる自分の震えた声。
ドクン。ドクン。
「あ、、、うん。いいよ!」
閉じていた心に優しい声が落ちてきた。
それだけで嬉しくて、感情が込み上げてきて、泣いてしまいそうになるおかしな私。
まわりの男子や冷やかされたけど、そんなことは頭に入ってこない。私の心も頭も体中がこうたくんのことでいっぱいになった。
学校で、初めてこんな大胆なことをして、自分が、自分じゃないみたいだよ…。