君がすきだ。~ほろ苦バレンタイン~
LOVE.2
「あ、佐野先生、佐野先生!これ33部でコピーしといてもらえます~?お願いしますね。」
「すいません!僕のも~、お願いしてもいいですかねぇ?」
「はい。大丈夫っすよ。33部ですね。」
ちらりと覗いた放課後の職員室からはそんな会話が聞こえてきた。
私は、野本 小春。
佐野先生を大好きで大好きでたまらない、高校3年生の一生徒。
そして今日は・・・先生と出会って初めて過ごす、大切なバレンタインデー。
まったくバレンタインだって言うのに、先生たちはなんでこうもバタバタと仕事をしてるのか。
きっとたくさんの生徒からチョコを貰う佐野先生に、意地悪でもしたいのだろうか。
私は壁に背中をつけて、ふぅーと息を吐く。
今日中に渡せるかな・・・。
制服のポケットに入るほどの、小さなチョコレートの入った箱をそうっと撫でた。