君がすきだ。~ほろ苦バレンタイン~
ガラガラガラ──。
諦めかけて、うなだれていると、急にチャンスがきた。
ドアを開けて顔を見せたのは・・・
ドキン。やっっと会えた。
白いジャンバーにグレーのジャージ。
近くで見た先生は、いつもよりもっともっとかっこよくて、さらさらの茶色い髪に触れたくなった。
どうしてこんなにも先生が好きなんだろう、そう思うほど、姿を見ただけで、心臓は急加速するんだ。
あ・・・ちらっと横を見た佐野先生と目が合って、すぐに後ろに反らされる。
その目線の先には、続いて出てきた数学の山本先生があった。
「いや~、佐野さん疲れましたね。」
「山本さんもお疲れさまでした。」
「バレンタインなのにやることが多すぎますね。まー私にはあまり関係ないですがね。ははは。佐野さんはこれからご予定でもあるんじゃないですか?」
「いやー、僕ももう直帰ですよ。ははは。」
ドクン。
ドクン。
先生がすぐ横を通りすぎる。
私は先生に全神経を、集中させながら・・・
なんでもない振りをした。
緊張して、動揺して、動けなかった。
そのまま二人は話ながら、階段の下へ消えていった。