夢想曲ートロイメライー
「何だと……」
「女のくせに生意気な!!」
「罪人の下で学んでいるくせに何を偉そうに」
三人は顔を真っ赤にして詰め寄ってくる。
その内一人が、私の荷物に手をかけて奪い取る。
「こんな物、女には必要ない!!」
「あっ……」
放り投げられた風呂敷包みはゆっくりと落ちていき、そのまま川の中へ。
慌てて欄干に駆け寄って川を覗き込むけれど、濁った水に私の影が映るだけ。
呆然と立ち尽くす私を背に、三人はそのまま立ち去ろうとする。
……何てことを。
「ちょっと、待ちなさいよ!!」
叫んで、一人にしがみつく。
「な、何だよ!?」
「どうしてくれるのよ!先生から借りた大切な本だったのに!」
「そんなこと知るか、放せよ!!」
何とか離れようとする身体を逃がさないように、腕に力を込める。
残りの二人も私を引き放そうとする。
「しつこいぞ!」
一人が手を振り上げた時だった。
「何してるんだ!!」
声と共に、数人が走ってくる音がした。