君の好きは信じない。
『美~紅!』

あたしの名前は豊島美紅。中学2年生。

『おは。あーたん元気やった?』

『元気元気!もう暇だったんよ!』

『はははっ!あーたんウケる。』

あたしが『あーたん』と呼んでいるのは中島絢萌。小学校の時からの幼なじみ。

『ま~た、マサに嘘つかれたんや。』

『ん!?何でしっとんの!?』

『あんなぁ。ウチと美紅、いつからの付き合いやと思ってんの?』

『え、えっと…』

あーたんは、困ったような顔をして言った。

『嘘ついても、バレとんの!』

あたしは嘘をつくのが苦手で、うそをつくとすぐにバレる。

そしてあたしはあーたんに、今日登校するときに合ったことを話した。

『んまぁ~マサ最低やな!?』

やっぱり。あーたんなら分かってくれると思った。

『ね!最低だよね?』

『よし、美紅!ウチがマサに一言もの申しとくわ!』

『ありがと!』

あーたんはこう言って、教室へと走っていった。まぁ、いつものことなんだけど。

あたしが廊下を歩いていると、教室から声が聞こえてきた。

『ねぇ、美紅の気持ちわかってゆうてんの!?』

あ!あーたん、怒ってくれてる。

『あ~あ~あ~あ~分かったからもうゆわんといて。お前の声、耳障り!』

『はぁ~~~~~~~~~~~~~~!?』

あ~あ!もう、2人ったら。仲良すぎ!

あたしとマサは幼なじみで、マサはあたしの気持ちをちっとも分かってない。

ガラガラ。

『あーたん、もういいよ?ありがと!』

『えぇ~?でもマサ、まったくわかっとらんよ?』

『どうせ何回ゆうても分からんから、いいって。』

『う、うん…』

あたしたちの会話が終わるとほぼ同時に、周りにいた男子たちの冷やかしが始まった。

『マ~サ、と~よしま!マ~サ、と~よしま!』

あ~あ!最悪!

『あんなぁ、美紅と俺は幼なじみやから!』

ほら、いつもそう。あたしたちはいつでも幼なじみ。

『な?』

『え?あ、うん。』

やっぱり余計な一言に返事をしちゃう。

『嘘つけぇ~!彼女じゃなきゃ『美紅』なんて呼ばんから!』

本当に『美紅』って呼んでくれたらいいのにな。

『じゃあ証人!なぁ美紅?俺のこと好き?』

えっ?核心をつく質問…うんって言いたいけど。

『う?』

聞こえなかったふりをしてごまかした。

『ほら!今『うん』って!』

ち、違うよ~(泣)

『マジで言ってんの!?』

『違うよ?違う……』















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