究極のお一人様〜ソロウェディングはお断り〜
「大丈夫?酔った?」


電車に乗るまでは少し会話もしていたのに電車が動き出すと、彼は途端に無口になった。

お酒は飲んでいないから電車に酔ったのかと思うと彼は一点を見つめてしかめっ面をしていた。


「・・・知り合い?」


「いいえ。ただ、嫌いなだけです。特にああいう女たちは」


彼の視線の先を追いかけると偶然、乗っていたのはさっき焼き鳥屋さんで隣だった二人。特に気になるようなところはない。


「別にあの二人、普通じゃない?何が嫌いなの?」


「・・・うるさいからです。あの甲高い声が耳に入ってくる。すごく気分が悪い」


「まあ、確かに楽しそうにはしてるけどそんな気になるかな?」


「女はうるさいんですよ。集団で固まるし、話し声は甲高いし、テンション上がるとデカイ声ではしゃぐ。耳に響くあの声が大嫌いです」


修吾は淡々と小さな声で話すから誰にも聞こえてはいないけれど不快感はメガネ奥の瞳から感じられる。

何か、あったのかな?


「ねえ、ならどうして私のお願い聞いてくれたの?私も例外じゃないって言ってたのに」


そう言うと手首を軽く掴まれ、引き寄せられる。耳元に感じるのは甘く響く低い声。

少しだけドキッと、そしてゾクっとした。それなのに・・・


「あなたのバカみたいに必死な顔が面白かったからですよ」


慌てて距離を取り、彼を軽く睨みつけると私の反応が予想通りだったのかしてやったりの顔。


悔しい、年下の男にからかわれた。そんな私たちを彼の大嫌いなタイプの女の子たちが羨ましそうに見ていたなんて私たちは知る由もなかった
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