究極のお一人様〜ソロウェディングはお断り〜
修吾の言葉が重なって聞こえた気がした。一度だけ高校生だった修吾がそう言ってくれたあのときと。


でも、そのときは軽い冗談だと思ったし、私自身も修吾のことを好きだと自覚していなかった。


だって高校生が大学生に本気になるなんて思いも寄らなかったんだ。もちろん、大学生の私が高校生に本気になるとも思わなかった。


でも、今は違う。年の差なんて誰にも咎められることもない。世間体だって気にしなくていい。今はそんなものを理由に逃げるわけにいかない。



「言っとくけど私、何も持ってないから。女嫌いのあんたを振り向かせるテクなんて何も。だけど、マグカップで笑ったりはしない。嬉しいよ。だってそのマグカップでコーヒーを飲むたびにこれをどんな顔して修吾が選んでくれたんだろうって嬉しくなる」



私は何を言ってるんだ。まるで私なら修吾を傷つけないと宣言しているようなもの。

つい目の前の無表情男が可愛らしいワンコ男子に戻ったからと言ってこんなこと言うつもりなんてなかった。

しかも修吾も目を丸くして驚いてるし。



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